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アイドラーズ12耐 詳細報告⑥
やや混乱してしまった初回ピット。
PIT作業のみならず、ドライビングやペース配分、コミュニケーション面においてレースが終始完璧に上手くいくことは少なく、このような事柄は早く出てくれた方がありがたく挽回の余地もまだまだ大きい。なぜなら、後半になればなるほどそのミスは大きく響き、最終盤であれば致命的になるからだ。
2番手走者はオーナー所さん。給油はバタついてしまったが、所さんといえば予定時刻より早めに全てのスタンバイを終えており、初レースの緊張あれどこの初回を乗り切ってしまえばより自分が落ち着けることを悟っているご様子。
練習してきた通りシートに乗り込み、所定の流れでエンジン始動。ギアを入れてPSMの解除ボタンを押し、速度制限40キロを超えないためにあえて1速でPITロードを進むことも練習通り遂行できた。
コースインした所さんにはリラックスしてもらうためにLINEで多めに話しかける。返答は普段のスポーツ走行と変わらずかむしろ落ち着いているくらい。
走行開始から13分ほど経過すると、所さんより「コース上複数台数停止している。これはSCになるかも」と完璧なレポート。実はこれもシミュレーターで何度も想定してきた案件で、「1台の停止なら場所と程度によるが黄旗処理のままが多い。だが2台以上となるとほぼセフティーカー導入となる」ことをSIMで練習しながらイメージしてきたのだ。
練習に使ったアセットコルサのAI車両は、特定の車両が運転荒い。黄色い930ターボと緑のエリーゼ。あとはランボルギーニウラカンもコースアウト率高く、それも3コーナーで多重発生することが多かった。このような場面では実際にはセフティーカー導入となるので、無線生きていれば報告、無線断線の場合は独断でPITインしましょうと二人で何度も確認して来た。
SIMとは場所は少し違ったが、ストレートエンドで2台が絡む大き目の事故であったので、所さんは冷静に報告してからピットに帰還。ここで給油とドライバーチェンジ。
所さんのレースデビュースティントは時間こそ短かったが、乗車準備から乗り込み・走り出し・無線報告・その対処と、全てが完璧であった。また短く終わったことがむしろ緊張を解す事にもなり、ご本人も安堵の表情で降りてきた。無事これ名馬。
続く3走者目は嶋田さん。
過去2017年から2019年まで12耐を一緒に参戦いただいたが、「やり残したことがある」と静かに今回のプロジェクトに参画いただいた。事前にもお伝えしたが、718でのテストはウエット路面1回のみ。しかも本番で718に乗るのは数年ぶりであること、2017当時より想定巡行ペースが10秒も速い設定の今回、経験者の嶋田さんでも相当ハードルは高かったはずだ。ご自身の準備も抜かりなく、暑い中毎日長時間ウォーキングされたりトレーニング実施されていたのも承知している。
嶋田さんが走り出すと、やはりLINE通信が不安定。Bluetoothイヤホンで通話していたが、練習時より他車ノイズが多い為かほとんど聞き取れない。また、嶋田さんの方にもこちらの声があまり伝わっていないようだ。普段はマニュアルの987Sで走っているが、PDKの718はデジタルな車両なのでその習熟も少し苦戦されているご様子。途中、「フェラーリ488GT3が煽ってくる!抜いていけばよいのに抜いて行かない!リズム狂うし落ち着かないよ。」との報告。
ん??と自分は一瞬思ったが、これは嶋田さんが相当良いペースで走っている証左であり、今年のTaymaz24はかつて全くペースが違ったチームとがっぷり四つで戦っているのだ。通信こそ不安定であったが、所定のスティントを無事熟していただきPITイン。 次は数年ぶりにドライバーとしてコースインさせていただく自分だ。

