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2026 / 09 / 02  

アイドラーズ12耐 詳細報告⑨



レース終了まであと70分くらいのところで、いよいよ本降り。 しかも完全に陽は落ち真っ暗。

晴れから雨、薄暮から闇。全開走行から燃費走行へとシチュエーション変化が多過ぎるセッションを無事走り切ってくれた中嶋さんから、いよいよアンカー所さんへ。
もてぎの「暗さ」はアイドラーズのアンカー経験者しか分からないのだが、皆様の想像より5倍「漆黒」である。メインストレートから5コーナーまでは比較的明るいが、S字からヘアピンに掛けてとバックストレートは完全に真っ暗。
これは自分は重々承知しているので、所さんにはシミュレーターの「rfactor2」ナイトモードで説明した。でも、SIMソフトがヨーロッパ製であるからか(欧米人は夜目が効くと言われている)、もしくはもてぎの夜をしっかり取材せず製作したのかは不明だが、所さんに「これなら大丈夫そうだね」と思わせる明るさ。SIMのヘッドライト消してもまだ明るいので、「この3倍見えないので、コース路面見るより脇の看板見落とさないようにしましょう。100m看板見落としてのブレーキミスだけは回避したいですね」と申し上げていた。
ところが、この暗さに加えて相当な雨量が重なる状況。初レース・初ナイトドライブとしては重荷だった、という程度の言葉では表現出来ないものだ。




また、伏線がある。 

前夜のささやかな乾杯の席で、所さんが「松田さんから、最終アンカーは順位や状況問わず所さんでと言われているが、クラス3位でバトンもらって、自分が走行中に4位に落ちる夢をみたんですよ」と。。

これを聞いてみんなで爆笑したのだが、なんと中嶋さん→所さんの最終リレー時の順位はクラス3位。正夢。しかも雨という希望しないオマケ付きで。


所さんが最終乗車される前、「もうここまで来たのだから、無理せず生き残ること最優先で行きましょう」と我ながら恥ずかしくなる陳腐なアドバイスしかできなかった。今年のチームで、718がノントラブルならクラス表彰台もあり得ますね~と何の気なしに皆で話をしていたことが現実となっているからだ。順位は気にせず自分たちの走りに集中して行こう!と言っていたが、今こそ順位にこだわるべき最後の戦いが始まる瞬間。件のPDK不調で一時参戦危ぶまれたことを鑑みても、今我々のいる状況はなかなかなもの。
コースに出た所さんは、コーナーでは全く無理せず直線でのみ追い抜きをするスタイルで、初レース初ナイト初豪雨としてベストソリューション。でも、「ワイパー一番速くしても視界がない。」「ブレーキングに使うコース脇看板が見えない。」「水溜まりに入ると前輪が浮いて流れる。しかもその水溜まりを視認できない」との報告が。
自分が想像する以上の状況に、「アンカー所さんと言っていたが、ここはドライバーチェンジだったかな」と気が弱くなったりした。また、この雨に足をすくわれてスピンアウトやクラッシュする車両も出始める。
と、ここで隣のPIT を見ると、クラス2番手を走る992GT3がタイヤ交換に入ってきたのだ。雨量が多すぎて危険と判断したのだろう。しかし、なぜ2番手の位置を捨ててタイヤ交換??
PCに表示されるラップタイムを見ると、
GT3→2分40秒
所さん→3分49秒
瞬時に、「GT3チーム、これは安全策ではなく、より順位を上げるための積極策だ」と感じた。
我々に対してもそうだし、より上位のチームに対し深溝レインタイヤで1周1分単位で削り込んで来るサインととらえた。
GT3チームのタイヤ交換ロスのおかげで我々はクラス2位へとアップした。が、鬼神の追い上げをされることは明白。



ここで一瞬考えた。どちらを無線で伝えるか??
①「所さん、このまま安全にマイペースで最後まで行ってくださーい。」
②「現在クラス2位に上がった、しかしGT3に1周1分以上速く追い上げられ、このままだとチェッカー直前に逆転される。」

ここで自分は②を選択。所さんはもちろん、チーム全員に「鬼」と思われたはず。
理由は、
これこそ耐久レースであること。
現実を伝えず重荷を背負わせないのは、今後の所さんのレーシングライフに活きないと考えたこと。
このプレッシャーに負け、スピンアウトするのも所さんにとって1年目だからこそOKであること。


ここからチェッカーまで15分だったのだが、時計が止まったかの様な錯覚を覚えるほど長かった。


 

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所さんに、②をお伝えした後の様子。
「固唾を飲む」とはこの事と言う典型例な顔で全員モニター釘付け。